e-wallet (イーウォレット)は海外銀行口座の代わりになり得るだろうか?

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前回(といっても間に1回ビットコインの回を挿みましたが)、3回にわたって海外銀行口座開設についてご紹介しました。

海外銀行口座開設について真剣に考えてみた(1)〈預金封鎖と新円切替〉

海外銀行口座開設について真剣に考えてみた(2)〈海外銀行口座のメリット〉

海外銀行口座開設について真剣に考えてみた(3)〈海外銀行口座のデメリット〉

海外銀行口座は、為替リスクを和らげる「通貨分散」や、海外投資のための「外貨の保有・受取先」として大きな利点があります。

その一方で、私のような現在、資産を持たない者には、口座開設の敷居が高い(主に金銭的な理由)と思います。

では、海外銀行口座の代わりになるようなものはないだろうか?

そう考えて、目をつけたのが「e-wallet (イーウォレット)」です。

今回は、「e-wallet (イーウォレット)」について考えてみたいと思います。

 e-wallet (イーウォレット)とは?

e-wallet (イーウォレット)は、電子マネー決済システムのことです。

直訳すると「電子財布」という名前の通り、紙幣などの実体を持たない電子マネーを保有する機能もあります。

クレジットカードの番号を知られずにクレジット払いができるPayPal(ペイパル)などの決済サービスや、昨今、話題のビットコインを始めとした仮想通貨の保有先としてもe-walletが利用されています。

仮想通貨を購入するには仮想通貨取引所に自分のe-wallet(電子財布)を作ってそこにお金を入金し、そのお金と仮想通貨を取引します。

e-walletは自分が「どの仮想通貨をどれだけ保有しているか」のデータを管理したり、他のe-walletへの送付や受取を行うことができるのです。

e-wallet (イーウォレット)で外貨を保有する

実は、仮想通貨取引所のe-walletの中には、仮想通貨以外にも日本円や外貨を持つことができるものがあります。

外貨を取り扱う取引所のe-walletを使えば、海外銀行口座のマルチカレンシー口座のように、外貨や仮想通貨を保有することができます。(マルチカレンシーとは「複数の通貨」という意味)

ただe-walletは銀行口座ではないため、取引所のハッキングによる通貨の盗難などのリスクも考えられます。

実際に2014年には、当時、世界最大のビットコイン取引所(本社:日本)だったマウントゴックスが約470億円相当ものビットコインを「盗まれた」と宣言し、破綻することがありました。(ご記憶の方も多いと思います)

マウントゴックス破綻 ビットコイン114億円消失 - 日本経済新聞
インターネット上の仮想通貨ビットコインの取引所「マウントゴックス」を運営するMTGOX(東京・渋谷)が28日、東京地裁に民事再生法の適用を申請し、同日受理されたと発表した。債務が資産を上回る債務超過に陥っていた。顧客が保有する75万ビットコインのほか、購入用の預かり金も最大28億円程度消失していたことが判明した。MTG...

2017年6月には、国内の大手仮想通貨取引所の「bitFlyer(ビットフライヤー)」と「Coincheck(コインチェック)」の2社が「利用者が取引所に保有する口座から通貨を盗まれた場合の被害を補償するサービス」を国内の仮想通貨取引所で始めています。

仮想通貨の不正引き出しに補償 国内初、大手2取引所が導入 - 日本経済新聞
国内大手の仮想通貨取引所ビットフライヤー(東京・港)とコインチェック(東京・渋谷)は個人のIDやパスワードなどを第三者に悪用され、利用者が取引所に保有する口座から通貨を盗まれた場合の被害を補償するサービスを始める。同サービスは国内初。国内では4月に法規制が始まり仮想通貨の取引所が増える見通し。利用者保護を手厚くし、安心...

いずれにせよ、大きな資産の保有先として取引所のe-walletをそのまま活用するのは避けるか、少なくとも補償サービスのある取引所のe-walletを利用するのが良さそうです。

〈比較〉外貨の扱えるe-walletと海外銀行口座

では、外貨の扱える仮想通貨取引所のe-walletは、どこまで海外銀行口座の代わりになるのでしょうか?

その違いを比較して考えてみます。

 (1)口座の開設

仮想通貨取引所のe-walletの方が、海外銀行口座に比べ容易に開設することができます。

〈海外銀行口座〉

AML対策により口座開設が厳しくなった今日では、信用できる海外銀行口座を開設するには、現地に行って直接口座開設の手続きを行うのが確実です。

 〈仮想通貨取引所のe-wallet〉

外貨の使える仮想通貨取引所のe-walletは、インターネットでの手続きで簡単に開設することが可能。

(2)外貨の保有〈通貨分散〉

外貨の扱える仮想通貨取引所のe-walletであれば、海外銀行のマルチカレンシー口座のように外貨の両替や保有することが可能です。

ただ、資産の保有先としての信頼性は、e-walletはまだまだ銀行には及ばないと思います。

(3)海外投資への利用

外貨の扱えるe-walletであれば仮想通貨だけでなく外貨を指定のe-walletに送金することが可能です。

しかし、e-walletはあくまで現金を電子データに変換したものをやり取りしているため、電子データを現金に換えなければ、銀行口座に現金として振り込むことはできません。

そのため投資先が振込先に銀行口座以外にe-walletも指定していないと、e-walletからお金を振り込むことができないのです。

またe-walletには銀行口座のような銀行間の決済に使用されるSWIFT(スウィフト)コード*1がないことも、海外投資案件の振込・受取先として利用することを困難にしています。

まとめ

今回は「e-wallet (イーウォレット)」について海外銀行口座と比較しながら考えてみました。

現状では、e-wallet (イーウォレット)を海外銀行口座の代わりに使うのは、まだまだ難しいと思います。

ですが、海外銀行口座に比べe-walletは容易に開設できるため、仮想通貨のような感覚で気軽に外貨に触れてみるのはいかがでしょう?

また、今後、仮想通貨の普及がさらに進めば、将来的にはe-walletが海外銀行口座のように使えるようになるかもしれません。

「e-wallet (イーウォレット)」については以上です。

*1:SWIFT(スウィフト)コード ISO 9362は国際標準化機構によって承認された金融機関識別コードの標準書式である。 SWIFTコード(スウィフトコード)、SWIFTアドレスないしはBICコードとして知られ、銀行間の決済、特に国際決済に使用されている。(Wikipediaより)

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